喪失感
引越し作業を開始。大きいものだけ業者に依頼し、残りは車に積んで何往復かする。
新しい生活への期待を胸に貯金もないくせに拘って作り上げた空間が消えていく。かつて部屋の写真を見せた時、皆が洒落た部屋だと言ってくれた。
家具や家電は実店舗やネットで一つ一つ徹底的に調べて、予算や候補を決めて選んだ。実家にスペースはなく、殆どは手放さざるをえない。
自分のやってきた事務系職は、地方じゃ一人暮らし出来る程の給料はまず貰えない。辞めることになった会社は一部上場企業だけあって待遇面は良かった。だからこそ、水が全く合わないと感じながらも辞められずに悩まされていた。
ダイニングセットなどはリサイクルショップへ持って行った。買取価格は購入時の1/10以下。つい先日まで使っていた家具が買い叩かれて何ともやるせない。
喪失感が酷い。気分が沈む。