線が細い人の日記

うつ病を患い無職→社会復帰→再びうつ気味

お別れ

毎年、この時期になると滑りたくて滑りたくて仕方がないという感覚があったけど、今年は全くない。それどころか、スキーをやめる決断を下そうとしている。社会人になって始めて10年、自分にとって欠かせない趣味だった。長く勤めた会計事務所は冬が仕事の忙しさのピークであり、そのストレス解消も兼ねて毎週冬山へ通ったものだけど…。

 

やめようとしている理由の一つが、熱が覚めてしまったこと。5年目くらいまでは行く度に上達していく感覚があった。しかし、我流であるためそこからは伸び悩んだように思う。

フリースキーを知った時に強い衝撃を受け、俺もいつかカッコよく飛びたいと思っていた。しかし、どんなに防具を揃えてもビビリのため、いつまでたってもストレートジャンプしか出来ない。キッカーに入っても回せない、ジブもうまく擦れないなどもどかしさしかなかった。もう30半ばに差し掛かろうかという年齢。20代と同じように体は動かなくなってきている。

そしてここ2シーズン、転職の失敗によりうつ状態にあり、行く回数が大きく減ってしまった。行ってもテンションが上がらないまま、不完全燃焼で終わってしまう日が殆どだった。病み過ぎてリフトで独り言をブツブツ言っていたから、同乗した方々はさぞかし気持ち悪かっただろう…。

 

二つめにお金。知れば知るほどに色んな道具を試してみたくなり、収入が少ないクセに1~2シーズン毎にヤフオクで売却しては型落ちを買う、というバカなサイクルを繰り返していた。新しい道具を入手することでテンションを上げていた。

前売り券をまとめて買って、飯も飲み物も一切口にしなかったけど、それでもガソリン代等々の支出は大きかった。そもそも冬山へ行くことを想定してわざわざ四駆車を選んで購入している。これでは金が溜まるはずもない。年収300万円程度では他の全てを我慢しないと出来ない趣味のように思われる。

 

最後に時間。原則、週1ペースで半日だけと決めてやっていたけど、準備や片付け、そして体の疲労感などで相当に時間がとられる。

そもそも今は会社から指示を受けた資格の勉強をしなくてはならない。うつ状態で働いていた頃に比べれば仕事の負担は軽いけど、やはり土日を中心にしてやっていくしかない。

俺ももう決して若くない。時間がとにかく足りない。確かに滑りまっくって楽しかったのだけど、同時に必要以上に時間を浪費してしまったように感じている。勉強や恋愛や他にやるべきことは沢山あったはずだった。生き遅れてしまった理由の大きな原因だろう。

 

「今はスキーどころじゃないだろ?」と誰かから説教されている感覚すらある。

そして、再び一人暮らしをして両親から自立したい、望みは薄いけど彼女が出来たらなるべく融通してあげて会う時間を長くとりたい、そんな今すぐには叶わない希望を考えると、どうプラスに考えても続けることが得策に思えない。むしろ、金が無いのだから今手持ちの道具は売れる間に一切ヤフオクで処分してとっと金に変えるべきなんだ。

 

…先日チューンナップから返却されて、壁に立てかけている板を見ると決断が鈍る。最高にカッコいい。ロッカー形状の板。この板のおかげで新雪の上を滑る楽しさを知った。他にも型落ちでも拘って拘って揃えてきた沢山の道具。元気になったし滑りに行ったら再び楽しいかもしれない。実際、朝一とかに滑ると最高に気持ちよくて、何物にも代えがたい。いつものホームゲレンデだけでなく北海道や長野に行って滑ってみたかった。

全てお別れするのか…辛い。自業自得だけど金さえあれば、そういう身分になってさえいれば、自分が大事にしてきたものを処分し続ける必要なんてないのにね…。